CATV高度化計画実証実験報告書目次
1. 序 文 2. 実験の概説 2.1 実験の意義と特徴 2.2 実験区域 2.3 実験参加社と実験項目 2.4 住民参加者 2.5 600+R方式への発展 3. 基本実証実験 3.1 実験の概要 3.2 実験システム 3.3 CATV伝送路のCN比 3.4 流合雑音の測定 3.5 流合雑音の種類と原因 3.6 BER(Bit Error Rate)の測定 3.7 ケーブルモデムの接続 3.8 結語 4. 応用実証実験(実験参加社による報告) 4.1 インターネットの活用(つくば市立並木小学校) 4.2 インターネットを利用した教育(つくば市立桜南小学校) 4.3 障害福祉への応用(日本ダウン症ネットワークつくば事務局) 4.4 OCNによるインターネット接続(NTTアクセスサービスシステム研究所) 4.5 幹線の信頼性向上への実験(NTTアクセスサービスシステム研究所 4.6 インターネットの接続実験およびマルチキャスト実験(IIJ) 4.7 インターネットの接続(KDD、日本シリコングラフィクス・クレイ) 4.8 VODの実験(KDD、日本シリコングラフィクス・クレイ) 4.9 インターネットの衛星接続(日立電線) 4.10 +R帯域におけるBER測定(日本電気、NECケーブルメディア) 4.11 流合雑音とBERの関係(DXアンテナ) 5. 住民参加とアンケートの結果 5.1 住民参加について 5.2 住民参加者の構成 5.3 アンケートの集計結果 5.4 アンケートに寄せられた反応 6. まとめ 6.1 +R方式の動作と性能 6.2 特記事項としての「集合住宅への通信サービス」 6.3 600+R方式 6.4 ケーブルモデム 6.5 アプリケーション 6.6 むすび(評価)
写真
1.序 文 =CATVのデジタル社会化対応の有力な技術「600+R」方式= 現在、わが国社会の情報化は日を追うごとに加速して、放送と通信の融合は大きな流れと なり、さらに一般家庭と社会を一体的なネットワークと化し、社会の諸活動が「デジタル信 号」を通じてなされるという「デジタル社会化」が現実の課題となりつつあります。CAT V業界もデジタル化対応、通信への取り組み等、懸命な努力がなされておりますが、この対 応には多額の費用を必要とし、さらに伝送容量の不足を補い、流合雑音を解決するなど、技 術上の問題も多々あります。 財団法人研究学園都市コミュニテイケーブルサービス(ACCS)は、これらの技術上の 問題を解決するためHFC・「600+R」方式を開発、実証実験を実施して、昨年9月に は中間報告をおこないましたが、この冊子は最終報告です。 実験の結果、ビット誤り率が10の−9乗(10億分の1) と極めて信頼性の高いこと、 上り流合雑音が解消され、集合住宅における双方向通信の問題が解決されたこと、データの 伝送速度が上下ともに非常に高速なこと、かつ十分な伝送容量をもつこと、わが国で最も多 い450MHzシステムと互換性をもち通信事業参入時の投資費用を節約できることなど、 数々の優位点のあることが確かめられました。 次いでこの成果はまずつくばにおける事業化につなげて、CATVの通信事業参入への有 力な手だてとして、この世界にデビューさせたいと考えております。 放送と通信の融合とデジタル化、CATV各社をめぐるかかる大きな環境変化の中で、こ の「600+R」方式はCATV各社の経営に必ずお役に立つものと思います。 ACCSは、今後とも多くの方々のご協力を仰ぎながらCATVの経営に資して行きたい と考えていますので、よろしくお願い申しあげます。 平成11年6月 財団法人研究学園都市コミュニティケーブルサービス 理 事 長 田 中 實
2.実験の概説
2.1 実験の意義と特徴
過ぐる5月31日、電気通信審議会は答申『ケーブルテレビの高度化の方策及びこれ
に伴う今後のケーブルテレビのあるべき姿』をまとめ、2005年にはほぼ全ての自主放送
をおこなうCATVのデジタル化、2010年までにはほぼ全てのケーブルテレビがフルデ
ジタル化を実現し、双方向通信サービスに対応することを求めている。
しかしそれには64QAM方式で変調・伝送するための設備更改に、現時点では1チャン
ネル(6MHz)当たり500万円(トランスモジュレーション方式の1例)〜800万円(
再多重方式の1例)、ヘッドエンド全体では2.9〜4.6億円(450MHzの施設)、
5.6〜8.9億円(770MHzの施設)、さらにセットトップボックスに1台当たり数万
円が必要であるとして、デジタル化に当たっては多額の費用のかかることを見込んでもいる。
しかしこの多額の費用は、デジタルによる多チャンネル伝送だけでは、その回収につなが
る収益面でほとんどプラスの見込みのないものであるだけに、検討されている諸種の方策に
もかかわらず、大方のCATV事業者にとっては、そこに新たな、たとえば通信事業への参
入による収益増を、必須の手だてとして登場させざるを得ない情勢になっていると言える。
かかる情勢の中で、今日内外多くのCATV局が通信事業への参入を企図し、あるものは
すでに事業化に進出してもいる。米国ではケーブルモデムの業界標準としてのMCNS
(Mu1timedia Cable Network System)の規格が決まり、DOCSIS(Data over Cab1e
Service Interface Specification)の認定に合格するモデルも出始めている。こうした状
況を見れば、CATVの通信への参入については、技術的には、何ら特段の問題も残っては
いないかに見える。
しかしながら、インターネット通信サービスに進出したCATV事業者が、採算のとれる
だけの数の加入者を抱えた場合に起こる技術的問題や、あるいは特に集合住宅に対しては、
そのサーピスをなお留保し、あるいはその対策についていまだに検討が続けられているとい
った問題を目にし、また耳にもする現状を見れば、この技術がまだまだ熟成していないこと
に容易に気づくことができる。そしてそこに厳然と横たわっているのは、通信路における上
り流合雑音の問題である。
私たちは、現在のCATVは「放送メディア」として発展、改良を重ねてきたものであっ
て、このままで通信への本格利用に供することには限界があると考えている。ここに至り、
冒頭に挙げた電気通信審議会の答申の中でも「高い周波数帯域を上り回線に使用することが
有効である」とし、「高域周波数追加方式(十Rシステム)を始めとする高い周波数をケーブ
ルテレビの上り回線に使用するシステムについて、実用化に向けての機器の開発・普及を進
める必要があると書かれるに至っている。長年におよぶ私たちの主張がようやく世に認めら
れてきた感がある。
現在のCATVで、上り信号のための帯域として使用されてきた10〜50MHzは、そ
れが上りの信号伝送用として登場してくるのは30年近くも昔の米国においてである。当時
は20チャンネルの伝送が出来るようになった、24チャンネルが可能になった、今年は3
6チャンネルになったというように、年ごとに伝送帯域が上側へと伸びていった時代である。
この時代に、上側に拡張を続ける下り帯域の制約を受けずに新しく確保できる上り信号用の
帯域としては、テレビとFMのための周波数帯の下側の帯域しかなかったのである。そして
これはうまいことを考えたものだと、米国のみならず諸外国からも感心された。それに当時
上りの信号として考えられたものは、特定の中継ポイントからセンターまでの取材映像の伝
送とか、回線保守のためのような低速データ信号などに過ぎなかった。
15年ほど前にはニューメディアフィーバーがあった。米国ではこの上り回線を積極的に
活用するための実験が華々しくおこなわれ、日本からも多くの関係者が相次いで視察に訪米
した。防犯システムや在宅医療などがよく実験されていたが、ワーナーコミュニケーション
ズはOhio州Columbusで有名なQUBEシステムの実験をおこなった。教育シス
テムや、住民の意見表明、電子選挙から、進行中のドラマの筋書きを視聴者が変えるという
ことまでやった。その後このような試みは、実を結ばないまま何時のまにか姿を消していっ
た。
何故であったのか? 上り回線の雑音(流合雑音)の存在が、後々までその実用化を拒んだ
大きな理由ではなかったか? それは解決されたと言えるのだろうか?
そして「マルチメディア」時代を迎えた。
インターネットの世界的流行にともなってCATV通信に脚光が当たってくると、その高
速性が注目されて、実に30年振りに、上り下りを使う本格的通信への胎動が始まったと言
ってよい。
しかしこの技術革新の時代に、大昔の発想を引き摺る10〜50MHzの上り帯域は、や
はりそれなりの制約を懐いたままだったと言ってよい。国内では光ファイバーを導入してH
FC型へと網構成の改良が競われたが、雑音は相対的には減少したものの問題解決までには
至っていない。不定期にしかも頻繁に発生するバースト性雑音は大切な通信を途絶させかね
ない。
この場合、あまり注意が払われていないようなのは不思議なことではあるのだが、インタ
ーネット通信では通信の途絶、瞬断またはその暫時の連続に、大体、利用者はすぐには気付
かないことが多い。何となく通信が重い(遅い)と感じながら、ほとんどはそのままに済まさ
れている。しかし利用者が増えたり、まとまったファイルを転送したり、映像などの大量の
データが送られるようになると、直ぐにもこの限界近くにあった問題は顕在化せざるを得な
い。事業者が見過ごしてならないことは、現状はまさにその噴出寸前の状況にあると言える
状態だということである。
また流合雑音が解決されていないと、上に述べたことの証左として、特に集合住宅へのサ
ービスの場面で、揺るがせにできない問題が露呈されてくる。
15年ほど前にはニューメディアフィーバーがあった。米国ではこの上り回線を積極的に
活用するための実験が華々しくおこなわれ、日本からも多くの関係者が相次いで視察に訪米
した。防犯システムや在宅医療などがよく実験されていたが、ワーナーコミュニケーション
ズはOhio州Columbusで有名なQUBEシステムの実験をおこなった。教育シス
テムや、住民の意見表明、電子選挙から、進行中のドラマの筋書きを視聴者が変えるという
ことまでやった。その後このような試みは、実を結ばないまま何時のまにか姿を消していっ
た。
何故であったのか? 上り回線の雑音(流合雑音)の存在が、後々までその実用化を拒んだ
大きな理由ではなかったか? それは解決されたと言えるのだろうか?
そして「マルチメディア」時代を迎えた。
インターネットの世界的流行にともなってCATV通信に脚光が当たってくると、その高
速性が注目されて、実に30年振りに、上り下りを使う本格的通信への胎動が始まったと言
ってよい。
しかしこの技術革新の時代に、大昔の発想を引き摺る10〜50MHzの上り帯域は、や
はりそれなりの制約を懐いたままだったと言ってよい。国内では光ファイバーを導入してH
FC型へと網構成の改良が競われたが、雑音は相対的には減少したものの問題解決までには
至っていない。不定期にしかも頻繁に発生するバースト性雑音は大切な通信を途絶させかね
ない。
この場合、あまり注意が払われていないようなのは不思議なことではあるのだが、インタ
ーネット通信では通信の途絶、瞬断またはその暫時の連続に、大体、利用者はすぐには気付
かないことが多い。何となく通信が重い(遅い)と感じながら、ほとんどはそのままに済まさ
れている。しかし利用者が増えたり、まとまったファイルを転送したり、映像などの大量の
データが送られるようになると、直ぐにもこの限界近くにあった問題は顕在化せざるを得な
い。事業者が見過ごしてならないことは、現状はまさにその噴出寸前の状況にあると言える
状態だということである。
また流合雑音が解決されていないと、上に述べたことの証左として、特に集合住宅へのサ
ービスの場面で、揺るがせにできない問題が露呈されてくる。
現在のCATVで、上り信号のための帯域として使用されてきた10〜50MHzは、
それが上りの信号伝送用として登場してくるのは30年近くも昔の米国においてである。
当時は20チャンネルの伝送が出来るようになった、24チャンネルが可能になつた、今
年は36チャンネルになったというように、年ごとに伝送帯域が上側へと伸びていった時
代である。この時代に、上側に拡張を続ける下り帯域の制約を受けずに新しく確保できる
上り信号用の帯域としては、テレビとFMのための周波数帯の下側の帯域しかなかったの
である。そしてこれはうまいことを考えたものだと、米国のみならず諸外国からも感心さ
れた。それに当時、上りの信号として考えられたものは、特定の中継ポイントからセンタ
ーまでの取材映像の伝送とか、回線保守のためのような低速データ信号などに過ぎなかっ
た。
15年ほど前にはニューメディアフィーバーがあった。米国ではこの上り回線を積極的
に活用するための実験が華々しくおこなわれ、日本からも多くの関係者が相次いで視察に
訪米した。防犯システムや在宅医療などがよく実験されていたが・ワーナーコミュニケー
ションズはOhio州Columbusで有名なQUBEシステムの実験をおこなった。
教育システムや、住民の意見表明、電子選挙から、進行中のドラマの筋書きを視聴者が
変えるということまでやった。その後、このような試みは実を結ばないまま何時のまにか
姿を消してしまつた。
何故であったのか? 上り回線の雑音(流合雑音)の存在が、後々までその実用化を拒ん
だ大きな理由ではなかったか? それは解決されたと言えるのだろうか?
そして「マルチメディア」時代を迎えた。
インターネットの世界的流行にともなってCATV通信に脚光が当たってくると、その
高速性が注目されて、実に30年振りに、上り下りを使う本格的通信への胎動が始まった
と言ってよい。
しかし、この技術革新の時代に大昔の発想を引き摺る10〜50MHzの上り帯域は、
やはりそれなりの制約を懐いたままだったと言ってよい。国内では光ファイバーを導入し
てHFC型へと網構成の改良が競われたが、雑音は相対的には減少したものの問題解決ま
でには至っていない。不定期にしかも頻繁に発生するバースト性雑音は大切な通信を途絶
させかねない。
この場合、あまり注意が払われていないようなのは不思議なことではあるのだが、イン
ターネット通信では通信の途絶、瞬断またはその暫時の連続に、大体、利用者はすぐには
気付かないことが多い。何となく通信が重い(遅い)と感じながら、ほとんどはそのまま
に済まされている。しかし利用者が増えたり、まとまったファイルを転送したり、映像な
どの大量のデータが送られるようになると、直ぐにもこの限界近くにあった問題は顕在化
せざるを得ない。事業者が見過ごしてならないことは、現状はまさにその噴出寸前の状況
にあると言える状態だということである。
また流合雑音が解決されていないと、上に述べたことの証左として、特に集合住宅への
サービスの場面で、揺るがせにできない問題が露呈されてくる。
筑波研究学園都市においては、研究学園都市建設法(昭和45年5月19日法律第73
号)、同施行令(昭和45年8月11日政令第240号)、研究学園都市建設計画(昭和
55年9月国土庁決定)において、新しい多様な情報通信の需要に対応するための情報通
信システムの整備が決められている。これを受けて研究学園都市において有線テレビジョ
ン放送事業を実施するACCSでは、CATV施設の更改に合わせてこの施設をグレード
アップし、放送と通信に対応できる新たな情報通信基盤とするべく整備を図ってきた。
そしてかっていち早く双方向通信の実験をおこない、流合雑音問題の侮り難い存在に気
づいていたACCSはその対策にも苦慮してきたが、むしろ問題を根元的に解決する、上
り帯域を雑音のない高い周波数域に設ける方式、を提唱するに至っている。
それはまず、下りチャンネルのための550MHz帯の上側に、リターンの帯域を併せ
持つという意味で「550+R」方式と名付けられた。現在は下りチャンネルの幅をさら
に広げた「600+R」方式として製品化されるに至っているが、詳細は各論にゆだねる
として、これら+R方式の主な特徴を挙げると以下のようになる。
(1)高信頼性
・従来問題のあった上り回線の信頼性を高め、流合雑音問題を解決したこと。(誤り訂
正なしで10のマイナス9乗のBERを確保)
・その結果最も特徴的なこととして、集合住宅へのサービスに問題がなくなったこと。
(2)十分な伝送容量
・BSデジタル放送、地上デジタル放送を包摂して、2000年に始まるデジタル時代に対
応する、テレビ伝送用の十分な下りチャンネル数をもつこと。
・通信用には、上りに21Mbpsを20チャンネル(420Mbps)、下りに31
Mbpsを標準で14チャンネル(434Mbps)程度の伝送容量をもち、特に上
りについては、実質従来の10倍以上の伝送容量をもっこと。
・したがって、マルチメディア時代に向かって将来性に不安がないこと。
(3)経済性
・ノイズが少ない分ノード当たりの加入者数を多くとれるため、光伝送路、ノードの数、
ともに1/2〜1/4と少なくて済み、建設費あるいは改修費が軽減できること。
(770MHzシステムとの建設費の比較については、「6.6評価」を参照のこと)
・450MHzシステムと互換性をもち、わが国で70%ほどのシェアをもつ450M
Hzシステムからのグレードアップに際し、増幅器間隔が450MHzシステムと同
じでよく、ケーブルはそのままに増幅器の交換だけで済むこと。
・集合住宅へのサービスでは、棟内に別配線を引いたり、あるいは電話回線を利用した
りの、別途に経費を要する設備を導入する必要がなく、従来の縦続接続のままでよい
こと。(電話回線利用の場合には、加入者に電話料金の負担もかかってくる。)
・システムのもつ問題が少ない分ケーブルモデムの取り付けにも時間をとらず、またシ
ステムのメンテナンスロードも軽いこと。
(4)高速性
・信頼惟の高い同線のためデータの丙送の必要がなく、上りにQPSKを趨える変調方
式の取れることと相まって、CATV木来の十分な高速性が保てること(CATV通
信は高速ではあるが、信頼性が十分でないシステムでは、加人者が増えれば利州者ご
とに再送の必要が起こり、緕果、雪だるま式に高速性が犠牲となる。また「600+
R」方式では、上り通信用に16QAMが使え、QPSKの2倍の速度をうる。)
(5)リアルタイム性
・信頼性の商い回線のため十分なリアルタイム性を確保でき、コンテンツに白然な感じ
が保てること。映像や音声の伝送でもブッブツ途切れることがなく、また対戦型のゲ
ームなどにも不自由なく使えること。
(6)地域内高速LANに対応
・信頼性が高く、十分な伝送容最があるため、インターネットの利用だけではなく、地
域内のより高速なLANに対応できること。(上り下り同じ伝送容量をもつため、市
役所、学校などからの、映像による上りの情報をふくむ木格的な通信路を容易に構成
することができる。)
以上を図にしたものが次の図2.2.1である。

つまり高信頼性、十分な伝送容量、経済性の3つの基幹的特徴に加え、派生的特徴とは
なるが決して揺るがせにできない、高速性、リアルタイム性、地域内高速LANへの適用
の3つを加えて、計6つということになる。
以上のように、恐らく画期的とも言うべき特徴をもつ+R方式は、実際にフィールドに
おいてその技術的成果が実証される必要があり、またそれが各種のアプリケーションにど
う実現され、個々の応用にどう反映されるかについて、一般の利用者の実体験をふくめて
実証されることが必要であった。
2.2 実験区域 研究学園都市において平成8年度から実施されているCATV高度化計画(+R方式 によるHFC化)の整備状況は以下である。 (1)光ファイバーケーブルの導入 ACCSセンターから各ノードまでの回線をすべて光ファイバーケーブルに置き換える工 事で、併せてバックアップルートも確保した。工事は平成9年度に完了している。 (2)+R方式の増幅器の導入 ノード以降、加入者宅までの同軸ケーブル網の改修であり、増幅器を+R方式のものに交 換する。

図2.2.2 高度化計画の整備状況
並木地区 (エリアの南東地区) 平成 8年度完了
遠東地区 ( ・ 西北部地区) 平成 9年度完了
大穂、中心地区 ( ・ 北部および中心地区) 平成10年度完了
要、松代、洞峰地区( ・ 北東部および西部地区)平成11年度完了予定
羽成地区 ( ・ 南西堆区) 平成12年度完了予定
なお、「550+R」方式で施工された地区は、順次「600+R」方式に改修される。
本実証実験の対象区域として、このうち光ファイバーケーブルの導入と+R方式の増幅
器の導入がともに完了した並木地区(図2.2.2参照)を選び、一般住民2,200世帯
の中から希望によって住民参加者を選ぶこととした。参加者数は平成9年10月からの第
1次実験50名、同10年5月からの第2次実験90名、140名とした。
2.3 実験参加社と実験項目
(1)基本実証実験と応用実証実験
CATV高度化計画実証実験は「550+R」方式、のちに「600+R」方式と
なった+R方式の基本となる、技術データの取得を目的とした基本実証実験と、この高度
化された技術インフラを通して、それがどのように活用できるかを確認する応用実証実験
とから成る。
基本実証実験はACCSとこの方式の共同開発者であるマスプロ電工とがこれに当たる
が、応用実証実験は、ACCSが提供する+R方式による通信路を使って、技術と費用を
負担してアプリケーションについての実証実験をおこないたい希望者を募っておこなうこ
ととした。
実験参加社と実験項目を表2.3.1に示す。
(2)応用実証実験の参加社と実験項目
平成8年12月、CATV事業者、通信事業者、ソフト事業者、行政・教育機関、
機器製造業者等、計150社(機関)に対し、「CATV高度化計画実証実験公募のご案
内」を配布し、応用実証実験への参加を公募した。
次いで平成9年1月27日には東京虎ノ門で、同1月31日には地元つくばで技術説明
会を開いた。出席者は虎ノ門24社38名、つくば14社(機関)21名であった。
実験はソフト、ハードいずれでも可とし、ACCSの施設の使用料は原則として無料、
各社の提案する実験については、費用、要員等を参加社の負担でおこなうとした。また実
験工程の調整その他をおこなう組織として、CATV高度化計画実証実験協議会を作るこ
ととした。
応用実証実験への参加を申し出たところは、最終的には10(7社、2校、1機関)、
実験項目は12件となった。そのうち平成9年10月に始まる第1次実験から参加したも
のが4社1校、残りは平成10年度からの第2次実験からとなった。実験内容の詳細は
「4.応用実証実験」に述べられる。
| 事業者/団体 | 実験項目 | 実 験 内 容 | 期 間 |
| 並木小学校 | インターネットの活用 | ・インターネットを取り入れた授業 ・LANによる学校と家庭の交流 ・他校との交換授業、情報交換 |
97.10.1〜99.3.31 |
| 桜南小学校 | テレビ会議を用いた協同学習の有効性 | ・並木小と同一テーマを研究し、テレビ会議方式での協同学習、情報交換から、児童の学ぶ力を育成する | 98.4.1〜99.3.31 |
| 日本ダウン症ネットワークつくば事務局 | 障害福祉への応用 | ・地域/広域福祉情報ネットワークの、インターネット利用に関する高度化を試みる | 98.4.1 99.3.31 |
| 日本電信電話潟Aクセスサービスシステム研究所 | 情報の信頼性向上への実験 | ・光ケーブル試験・監視技術をCATVに応用、芯線の自動選択と自動測定
|
97.10.1 99.3.31 |
| OCNによる、高速インターネット接続 | ・CATVとOCNの本邦初接続 ・各種応用のプラットフォームとしての信頼性 |
97.7.1 99.3.31 |
|
| 潟Cンターネットイニシアテイブ | インターネット接続 | ・CATVと一般プロバイダの接続実験 ・マルチキャスト、およびテレコンファレンスの実験 |
98.7.1 〜 98.11.30 |
| KDD梶^日本シリコングラフィクス・クレイ | インターネット接続 | ・高速道路沿いに張られたKDD回線との接続によるインターネット接続
|
98.7.1 99.3.31 |
| VOD実験 | ・CATV-LAN上でTCP/IPでアクセスするVOD実験
|
99.1.10 99.3.31 |
|
| 日本電気/NECケープルメディア | 上り帯域(50MHz/ 700MHz)BER比較 |
・50MHz帯と700MHz帯のビツト誤り率を測定、比較する | 97.12.9 97.!2.24 |
| 日立電線 | インターネット衛星接続 | ・米国からの下り衛星回線を直接CATVに結ぶ、インターネット衛星接続 | 98.9.1 99.3.31 |
| DXアンテナ | 高速伝送とBERの比較 | ・64QAM,31Mbpsの高速伝送実験・256QAM,41Mbpsの高速伝送実験 | 97.11.14 98.5.28 |
| マスプロ電工 | 「600+R」方式の検証 | ・基本実証実験 ・BERの測定 ・+R用機器を使った野外検証 |
97.7.1 〜 99.3.31 |
表2.3.1 応用実証実験の参加社と実験項目
2.4 住民参加者
(1)住民参加者の募集
つくばの中心部は公務員宿舎の多いところである。その中で並木地区は、戸建て住
宅/集合住宅、公務員住宅/民間住宅が入り混じり、住民も公務員/民間人、研究・教育
関係者/一般住民などが混在する、興味深いデータの取得が期待される住宅地区である。
この地区に対し平成9年4月、地区の公民館において、住民代表約20名に実験のあら
ましと参加要領について説明、実験に対する理解を求めるとともに住民への周知方をお願
いした。
続いて同年5月より、この地区の全家庭に対して参加者募集のパンフレットを配布、同 5月20日より申し込みを受け付け、6月16日に締め切った。申込者は7才の少女から 68才の在宅勤務者まで249名、住民世帯数に対する比率は11.3%である。 (2)第1次住民参加者の選定 応募者249名の中からまず第1次の住民参加者50名を選定した。選定は実証実 験の目的に合わせて、年齢、性別、住宅形態の違いなどによる偏りが、出来るだけ補正さ れるように配慮した。 (3)第2次住民参加者 第1次の住民参加者に選ばれなかった者の中から、平成10年4月以降、第2次の 住民参加者90名を選んで実験に加えた。 第1次50名の実験では戸建て住宅と集合住宅の比率を半々としたが、第2次90名の 実験では、そのほとんど全数が集合住宅となった。 それぞれの項目別の分布は「5.2 住民参加者の構成」に記す。 2.5 「600+R」方式への発展 実験は「600+R」方式の構想より早く始まったために「550+R」方式でお こなわれた。 「600+R」方式は「550+R」方式の発展型であるが、テレビ伝送のための下り の周波数帯域をさらに52MHz拡張し、2000年から実用が予定されているBSデジ タル放送や、その先に予定されている地上デジタル放送に対応させている。 (1)デジタル化への対応 CATVの流すテレビチャンネルは多ければ多いほど良いとは言えない。当然、投 資に見合った「利益最大」を考えた場合の、「最適チャンネル数」というものが存在する。 「600+R」方式はBSデジタル放送8ch、地上デジタル放送8ch(関東は9ch)、 それにアナログ放送からデジタル放送への移行期に必要になるサイマル放送のためのチャ ンネルをふくんで、とりあえず計約100chのテレビチャンネルを送出することができる。 BSデジタル放送や地上デジタル放送はHDTVが主となるが、HDTV用の1chでS DTV3チャンネルを送るときの送信も、この1chの中で処理することができる。 (2)サイマルチャンネルの必要性 CATV局がアナログ放送からデジタル放送にサービスを移行させる場合に、セン ター側の設備の置き替えはともかく、端末側のSTB(セットトップボックス)の交換は 一朝一夕というわけにはいかない。それはSTBという加入者の数だけ必要になる端末設 備の準備面からも、またその切り替え工事という作業の工程からも、通常は数年を考えて おかざるを得まい(STBは、現在テレビ再送信だけを受信しホームターミナルを必要と していない受信者にも必要になることは注意)。そしてその期間は同じ番組のアナログ放 送とデジタル放送との両者による送出(サイマル放送)をおこなわざるを得ないが、この 期間、このために必要となるチャンネルの数は両者の合計(通常は2倍)となる。
(3)「600+R」方式の周波数利用
「600+R」方式は650〜770MHzに上りのための通信帯域をもつのが特
徴であるが、実際の周波数利用において、90〜602MHzの下りの帯域に上記の(1)
と(2)のテレビチャンネルのための要求を満たしながら、上りの伝送速度とほぼ同じ伝
送速度をもつ、通信のための下り帯域を確保している。ただし通信の利用が増えるまでの
間は、(2)に述べたサイマル放送などのために、通信のための帯域の一部を、一時放送
のために流用することも考えられる。
(4)ケーブルモデムとの周波数整合
後にもう一度触れるが、「600+R」方式用に開発されたケーブルモデムは、6
4QAMで伝送される602MHz以下の下り帯域と、16QAMで伝送される650〜
770MHzの上り帯域に整合している。
(5)全デジタル化以後の最終テレビチャンネル数
アナログ放送が全てデジタル放送に移行したときの((3)で述べた一時流用は終
了)、「600+R」方式の総テレビチャンネル数の例を挙げておく(BSデジタル放送、
地上デジタル放送はHDTVとしてカウント)。
・アナログチャンネル帯域のデジタル化で(例えば) ≒ 176ch
・デジタルのチャンネル(BS+地上+サイマル分)8+8+40= 56ch
計 約 232ch
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